夏休みがほしいだけ

夏休みがほしいだけ

ただの雑談でございます。

同じクラスのやつの綺麗な机が羨ましい

 

若山さあ。

 

あん?

 

ちょっとおれの机と若山の机交換しようや。

 

え、なんで?

 

おまえの机めっちゃ綺麗やん。
そんなんセコいやん。

 

え、まだそんなこと言う?
小学生ちゃうねんで?
おれら高校生、高校生ぞ?

 

いや、だってホンマのことやん。
なんでおまえの机だけそんな新品やねん。
おれのんこんなに汚いのに。

 

知らんわそんなん。

 

みんな茶色の机で我慢してんのに、おまえだけ肌色やん。
ツルツルやん。
そんなんおかしいやん。

 

おかしないやろ。

 

おかしいやろ。
訳分からんわ。

 

アンティークや思ったらいいやん。
ええやん、アンティーク。

 

そう思うんやったら交換せえや。

 

いやや。
おれは一からこの机を育てていく。

 

一年そこらで育たんから。
そもそもなんでおまえやねん。

 

多分、去年のこの教室にあった机では足りんくて、補充されたんが名前の順で一番後ろのおれに当てられてん。
そういうことよ。

 

そんなん名前の順最初のやつでもいいやん。

 

知らんがな。

 

おまえ、相田の気持ち考えたことあるんか?
あいつ名前の順一番やから自己紹介とかも毎回一番手でやらされてるねんで?
あんなん可哀想やん。

 

そりゃあしゃあないやろ。
相田家の背負いし、悲しき宿命や。

 

その点おまえは若山やから、一番最後でみんなのんを全部聞いてから無難な感じで終わらせるやん。
おまえヤバいって。

 

ヤバいってなんやねん。

 

ヤバいヤバい。

 

そんなんしょうがないやろ。
おれが決めたことちゃうねんから。

 

相田なんか名字「あ」の次も「い」やから、あいつ多分一生一番やぞ?
相田の気持ちも考えたれよ!

 

だからなんでおれが悪いみたいになってんの?

 

悪いやん、実際。

 

なんでやねん。
悪くないやろ。

 

そんな苦労をしてる相田にせめてもの(ねぎら)いとして、綺麗な机を譲ってあげようとは思わんのか?

 

おまえ、さっき自分の机と交換しようとしてたやんけ!
相田にあげようなんか一個も言ってなかったやんけ!

 

おまえ極悪人やな。
自分だけ何食わぬ顔で綺麗な机使って。
不公平やろ。

 

そんなん先生に言えや。

 

はいっ。
ということでクラスみんなの署名を集めました。

 

え?

 

いま若山のものになっている机を改めて抽選で誰のものか決めようと。
クラスの過半数以上の人が署名してくれています。

 

え、マジ!?
そこまでする!?

 

そこまでしました。
もちろん相田くんもしてくれました。
名字の通り、一番最初に書いてくれました。

 

くそっ!
相田あいつ〜!

 

これを担任の安達先生に渡してきます。
安達先生もおそらくこれまでの人生、その名字からクラスのリードオフマンを強制されてきたことでしょうから、きっとこの意見に耳を傾けてくれるでしょう。

 

クソっ!

 

せいぜい残り少ない綺麗な机生活を楽しむがいいわ。

 

なんちゅうやつらやっ!
こうなったら・・・!
おれのものである今のうちに、この机におれの名を刻み込んでやるっ!

 

あっ!やめろっ!
みんなっ!
止めて!
誰かー!