今日は待ちに待った焼肉やな。
楽しみやわ。
な。
おれめっちゃお腹減ってるわ。
もうすごい食べれる気がする。
ほんまに?
やばいやん。
あれ、なんかテンション低ない?
え?
なんかテンション低いやん。
いやさあ・・・。
なんやねん。
もう正直に言うけどさ、今日焼肉ちゃうわ。
全然焼肉の気分じゃない。
え、マジで言ってんの?
お前本気かよ。
これは本気。
本気と書いてマジと読むやつ。
いやいや、一週間前から行こうって決めてたやん。
分かってんねん。
分かってんねんけど、正直今日焼肉ちゃうわ。
申し訳ないけどな。
マジかよ。
お前ふざけんなよ。
ふざけてないって。
焼肉なんかいつ食べても美味しいやろ。
なんやねんお前。
いつ食べても美味しいは言い過ぎやろ。
おれホンマはもっとゲリラ的に行きたいねん。
『あ、今日焼肉やわ』って思った日にいきなり行きたいねん。
分かる?
いや分からんわ。
焼肉はいつ食べても美味しいって。
ホンマに分からん?
前もって焼肉行こうってなったその日は確かに焼肉の気分やけどさ、気分って変わるやん。
明日は明日の風が吹くって言うやん。
言うけどな。
思い立った日に行くんが一番いいやん?
だってその瞬間が食べたいって思ってるまさにそのときやねんから。
でも焼肉っていつ行ってもだいたい美味しいから。
これはマジで平行線のまんまやで。
何で分からんねん。
腹立つわ。
何でお前が腹立ってんねん。
めちゃくちゃやな。
じゃあ今日何の気分やねん。
里芋炊いたやつやわ。
めっちゃダシのやつやん。
技タイプのご飯やん。
全然焼肉とちゃうやん。
だから言うてるやん。
焼肉ちゃうって。
パワータイプのご飯の気分じゃないねん。
テクニカルタイプの優しいやつが食べたいねん。
え、じゃあ今日どうするん?
もう来んの?
いや行くで。
行きはする。
でもホンマは焼肉の気分じゃないやろ?
まあな。
でもそこは約束してたから。
行こうってなってたから。
男に二言はないから。
なんやねんそれ。
なんでちょっとカッコつけてんねん。
おれ、約束は守る男やから。
どっちみち食べるつもりやったんやったら、今日気分じゃないとかは隠しとってくれたらよかったやん。
胸に秘めといてくれたらよかったやん。
おれ、自分に嘘つきたくないねん。
ていうか、嘘、つけへんねん。
自分に。
だからなんでイキってんねん。
腹立つわ。
そもそも聞いてきたんそっちやん。
なんかテンション低くない?って。
そりゃそう聞かれたら答えるやろ。
いやまあそうやけど。
でもそこはさあ、そっちが
『今テンション低いですよ~。気づいてますか~』
みたいな雰囲気出してたやん。
ジャブ打ってきてたやん。
だっておれ自分に正直やから。
そういうの隠せへんタイプやから。
自分、不器用ですから。
もうそれええわ。
高倉健まで出てきたやん。
え、ホンマに焼肉行くけどいいん?
いいで。
テンションは低めやけどな。
楽しくないわ~。