あっ、流れ星!
うそっ!?
あっ、また流れた!
ちょっと待って。
おれ全然見れてへんねんけど。
おれもうさっきので5回目やで。
いやおかしくない?
なんで?
なんで?って言われても。
なんでなん?
なんでなん?って・・・。
あっ!
また見れた!
ちょっと待てよ。
おれがなんで見れへんか話してんねんから、星見んのやめろよ。
こっち向けよ。
おまえはこっち見んなよ。
空見ろよ。
流れ星見たかったらまずはそこからやろ。
マジで見れたらすぐ言って。
流れ星消える前に言って。
無理やろ。
その方法では絶対に無理やろ。
じゃあもう予感でもいいわ。
予感したらあっ!って言って。
普通に空探してたらいつか見れると思うねんけどな。
それがマジで見れへんのよ。
あっ!
えっ!
どこっ!?
予感外れたわ。
マジでふざけんなよ。
いやそんなキレ方する?
予感やから外れるんは仕方ないやろ。
当てろよ。
当てな意味ないやろ。
それはもう予知やん。
マジでふざけんなよ。
なんでキレられてんねん、おれ。
あっ、今また見れたわ。
予感したら言えよ!
おい!
無理無理無理。
予感なし予感なし。
そもそもどういうモチベーションでキレてんねん。
ヤケクソになってるやん。
もういいわ。
もう分かった。
ちょっと今自分が見てる方向を指さして。
おれもそこ見るから。
まあええけど。
はい。
そっちな。
分かりました。
・・・。
・・・。
・・・。
・・・。
・・・。
・・・。
え、全然流れへんやん。
何してんの?
何してるんって言われても。
いや、自分がさっきからめちゃくちゃ見れてたからおんなじとこ見ようって思ったのに、なに急に見れんようになってんの?
何してんねん。
クレーマーやん。
いかついって。
え、ホンマは全部分かってるんちゃうん?
流れ星がどこらへん流れるか予知可能なんちゃうん?
予知可であえて流れへんとこ指さしてるんちゃうん?
いや予知不可よ。
なんならさっきまで1人やったらあんなに見れてたのに、自分がいっしょに見出したら急に見れんようなったやん。
そっちこそ流れ星になんかした?
なんかってなんやねん。
その、もうトゲトゲした感じが流れ星にまで伝わってもうてんねん、空を超えて宇宙まで。
流れ星も怖がってんねん。
いやいや。
今でこそトゲトゲしてるけど、最初は穏やかな気持ちで夜空を眺めてたから。
あのころの未来に僕らは立っているのかなあなんて思いながら眺めてたから。
全然集中してないやん。
流れ星もそりゃそっぽ向くわ。
そもそも流れ星に感情なんかないわ。
あるよー。
流れ星にもちゃんとあるから。
そんなん言われて流れ星いま悲しんでる。
おれには悲しみが伝わってくる。
えげつないアニミズム信仰やな。
宇宙は神様の守備範囲外やろ。
そもそもな、その、自責の考えが足りひんわ。
他責の考えになっちゃってる。
見れへんのを流れ星とかおれのせいにしちゃってる。
新入社員研修みたいなこと言ってくんなよ。
そういうのから距離置きたくて星見に来てんのに。
いいからもうおれの指す方向見といて。
とりあえず。
もう信じるわ。
指見るわ。
ちゃうちゃう。
指見るんちゃうねん。
指のさす方向を見な。
え?
え?じゃなくて。
ちゃうちゃう。
その、指の先端見てるやん。
ちゃうねん。
指の向いてる方向の空を見な。
いや、見てるって。
見てへんやん。
指見てるやん。
ちゃうって。
ちょっ、もっとちゃんと指伸ばしてよ。
中途半端やわ。
他責の考え出てるやん。
それやめて。
普通に腹立つから。
あっ!
えっ!?
見れたやろ!?
さっき流れたやん!
いや、なんか視界の端でシュッってなった気はしたけど。
あれ?
あれよ。
ホンマに?
え、あんな感じ?
え、見れんかったん?
いや、なんかちゃんと捉えれんかったから、見れたんか自信ないわ。
あれが流れ星ですっ。
えー。
なんか・・・。
えー。
あれかー・・・。
ん、なんや?
あんな騒いどいて不服か?
あ?