生類憐みの令発令下、日本の夏
生類憐みの令厳し過ぎん?
厳しい厳しい。
なんか噂で聞いてんけど、蚊殺して罰せられた人もおるらしいで*1。
それはやりすぎやろ。
ホンマに?
松次郎が言ってた。
松次郎かい。
ほんなら信じられへんわ。
あいつすぐ大袈裟に言うから。
そうかあ?
だって蚊やで?
いや、蚊は殺すやろ。
蚊はしょうがないやろ。
まあそうか。
まだ犬は分かるわ。
犬からは別になんも仕掛けてこんから。
でも蚊は向こうから仕掛けてくるやん。
血を吸いに来るやん。
確かにな。
でもそれやったら、蚊に血吸われる前に殺したらあかんのちゃう?
その蚊がホンマに血を吸うつもりやったかどうかは、吸われな分からんやん。
え、そんなん万引き見張るときみたいにせなあかんやん*2。
そういうことになるな。
あ、腕に蚊止まった。
吸うよ、吸うよ、吸うよ吸うよ吸うよ吸うよ・・・
・・・。
吸うよ吸うよ吸うよ、はいっ!吸った!バチン!って無理じゃない?
あんなちっちゃいのが吸ったかどうか分からんわ。
吸ったらほんのりおしりが赤くなるやろ。
いや難しい難しい。
もうさ、蚊は吸うやろ。
大概吸いよるやろ。
吸わへん蚊なんかさ、もはや話盛らへん松次郎と一緒やん。
ええやん、じゃあ。
ええねん、だから。
もし吸わへんのやったらな。
でもあいつらは十中八九血を吸うし、松次郎も十中八九話を盛る。
だから蚊も松次郎も許してはならんのだよ。
ほんなら蚊遣り使ったらいいやん*3。
あれやったら蚊を殺さんでも寄ってこんようにできるやん。
いや、あれ臭いやん。
そんでめちゃくちゃ煙出るから外でしか使えへんやん。
何の葉っぱ使ってんの?
だいたいよもぎやけど。
あー、じゃああかんわ。
いやな、あれらしいねん。
よもぎじゃなくて松の皮が1番いいらしいねんて。
えーホンマに?
え、それ誰情報よ?
松次郎。
松次郎かいっ。
またかい。
ほんなら信用ならんわ。
色々試した結果、松の皮が1番蚊が寄ってこんようになったらしいで。
松次郎曰くな。
松次郎曰くは信用できひんねん。
あいつ大袈裟やから。
絶対気のせいやろ。
そうかあ?
だいたいな、生類憐みの令をガチガチに守ろうとしすぎやろ。
始まりは無駄な殺生はやめましょうやろ?
いたずらに殺すのがあかんだけで、蚊はいいやろ。
刺されたら痒いし。
まあ言うて、おれも蚊殺してるねんけどな。
殺しとんかいっ。
まあそりゃそうやと思うけど。
じゃあ蚊殺して罰せられた人がおるんも嘘か。
そりゃあそうやろ。
どうせまた松次郎が話盛っただけやって。
ホンマやったらビックリするわ。
てか自分、めっちゃ松次郎と仲良いな。
情報源、松次郎ばっかりやん。
まあな。
生類憐みの令が出てるから、松次郎のことも憐んでんねん。
出てなかったらこんなに仲良くしてへんわ。
いや、そんな扱いを受けるほど松次郎悪いやつでもないけどな。
話盛りがちなだけで。
*1:伊東淡路守基祐という人が罰せられたとか(生類憐みの令で蚊を殺したため罰せられた小姓の名前は? | レファレンス協同データベース)。ホンマかいな。
*2:江戸時代にもすでに万引きという言葉はあったようですね、松次郎曰く(江戸時代から使われていた「万引き」という言葉の由来を紹介 - ライブドアニュース)。
*3:蚊取り線香ができるまでは、草木をいぶすことで発生する煙によって蚊を遠ざけていたようです(渦巻きがなくて苦労した大昔 | 資料館 | 工場見学 | KINCHO 大日本除虫菊株式会社)。