好きな作品を教えるのは自分の性格を把握されそうで憚られる
オッス。
おお、おはよう。
おはよう。
なに聴いとったん?
え?
いやイヤホンしてたやん。
誰の曲聴いてたん?
それはなんか言いたないわ。
え?
なんで?
教えてよ。
なんかさあ、自分の好きな曲とか小説とか漫画教えるんって嫌じゃない?
ホンマに好きなやつ教えるんは。
別に嫌じゃないやろ。
なんでそんなことなんのよ。
なんかそれ教えたら、おれの為人とか性格を完全に理解されそうで怖いねん。
いいやん別に。
おんなじやつ好きやったら盛り上がるやん。
いや、盛り上がることよりも
『へえ~、こんなん聴くんや』
って思われる方が嫌やねん。
なんでやねん。
そんな知られたくないとか逆に普段どんなん聴いてんねん。
そんなヤバいやつ聴いてんのか?
別にヤバいやつは聴いてへんけど、なんかな。
だから好きなやつ教えるとき、あえて5番目ぐらいのやつ言うもん。
1番は絶対に言わへん。
せめて2番目でいいやん。
なんで5番手出してくんねん。
どんだけ慎重やねん。
はぐれ刑事慎重派やな。
ちょっとそれなにか分からんけど。
・・・。
とりあえず言いたくないねん。
なんならおれがそういう風に人を判断する派やし。
『ああ~、そういうタイプのアーティスト好きな感じね。はいはいはい。分かりました分かりました、あなたの性格は』
って。
はぐれ刑事そういう風に人を判断する派やねん。
マジかよ。
おまえそんな考え持ってたんかよ。
おまえ、はぐれ刑事そういう風に人を判断する派やったんかよ。
そうやねん。
これはもうしょうがないねん。
え~、じゃあ5番目でいいから好きなアーティスト教えてよ。
それもな~、ホンマはな~、いややねんな~。
なんでやねん。
そんぐらい教えろよ。
だってさあ、おれ、自分が結構マイナーなアーティストを聴いてるという自負があるわけよ。
だから言ってもどうせ知らんやろなあって思うわけよ。
その考え方はアカンで。
自分から壁作ってもうてるわ。
それは傲慢やわ。
いや確かにそうやねんけどな。
でもいざ言って向こうが知らんってなったとき気まずいというか、なんか冷めんねんな。
そこはさ、知ってるかもしれんに賭けようよ。
ネガティブな方を考えるよりもポジティブな結果を期待しようよ。
・・・そうやな。
自分の言う通りかもしれんわ。
やろ?
じゃあ好きなアーティスト教えてよ。
5番目でもいい?
最初はゆっくりでいいやん。
徐々にホンマに好きなんを言えるようになっていったらいいから。
ありがとう。
優しいわ。
じゃあ言うわ。
うん。
ヤンヤン着け坊ってバンドやねんけど。
知らんわ~。
もうこのオチ読めてた。
腹立つわ~。
茶番や、茶番。
もう二度と言わへん。
塞ぎこんじゃった。
あとがき